愛しいキミへ




そう言って笑ってやった。
今は当分忘れられそうにないし、忘れたくない。

花屋を見たら星斗を思い出すし。
メガネを見ても星斗を思い出す。
くくって笑った人を見ても星斗を思い出す。


星斗。

名前を聞いただけなのにこの字が浮かんだ。
綺麗に輝いてるけどすごく遠くにある。
夜になると見えるくせに届かない。


きっと星を見るたびにあたしは星斗を思い出す。


あたしの思いは届いたよね?
その恋は叶わなかったけど。
あたしの人生で最高の恋になるだろうな。

たった3日。

あなたを思った日々はこれだけだけどこれからどんどん増えていく。


知ってくれた事も知らない事も少ないあたし達だけど。
ちゃんと恋をした。

お客と店員。

この関係から少しは抜け出せたかな?


「バイバイ、星斗。
ちょっとでもあたしを幸せに出来ると思ったらあたしを探してよ。
絶対に会えるから。

バーカ。
大好き、星斗」


「じゃあな。
馬鹿でごめんな。
幸せにな、奈々」



涙はいつか止まるけど、
時間は止まらない。

チャリン。
と鈴の音が店の中に響いた。

ここをでたらもう会えない。

後ろを振り向くと星斗は笑ってた。

「泣くな、奈々」

こればっかりは無理でしょ。
そう言いたかったけど、言えなかった。
その笑顔が苦しすぎて。


あたしはいつもより少し涼しい外に出た。