忘れ物を取りに教室に戻ったとき、中から声が聞こえた。
「お前ら何やってんだよ!里穂は何もしてねーだろ!」
「だって滝沢君に色目使うし…」
色目って…
「あいつはそんなことしてない!俺が勝手に構ってるだけだ」
「滝沢君て里穂のこと好きなの?」
リーダー格の子が問い詰める。
「好きだよ。だから、里穂に何かしたら許さない」
びっくりした。
嫌われてると思ってたから。
私は、教室には入らずに
そっと来た道を戻った。
何も聞いてないことにした。
でも、
あの日以降、椋に会うのが嫌じゃなくなった。
中学も一緒で、だんだん仲良くなって、
今でも一番の“友達”。
