いきとし生けるモノ――
その全ての、母であり、支配者

それが、"緑王"フィリア。



フィリアは、緑の森と呼ばれる滅多に人が立ち入らない森の奥深くで、優雅に紅茶を啜っていた。


「……暇ね。
何か、面白い事はないかしら」


『その様なもの、此処には無いと思いますが……』


フィリアの言葉に応えたのは、彼女の傍に寝そべっている鹿だった。

フィリアは"緑王"としての力で、木々や花々、そして動物とも会話をする事が出来る。


故に、あまり退屈はしない。
だが、たまにはいつもと違った刺激が欲しくなるものだ。


そんな彼女の思いが伝わったのか。

はたまた、神の嫌がらせか。



森に、何かが訪れた。