ニッコリと微笑みながら言う彼女の言葉が理解できなかった。
何も言わない俺に、彼女の言葉は続く。
「お父さんさ、知らないと思うけどお母さんね、一昨年再婚したんだ。
でね、私も来年結婚するの。
それでさ、私もお母さんもせっかく新しい人生をスタートさせるっていうのに、
お父さんからの電話とか、お母さんに送り続けてるお金とか…
そういうの、ハッキリ言うけど迷惑なんだよね。
お母さんがなかなか言えないみたいだから、今日私がかわりに言いに来たの。
で、これ」
美香がテーブルに乗せたのは、分厚くなった封筒だった。



