「そういえば…トミさん、なんでここに?」
身内でも学校の先生でもない彼が、なぜアタシと一緒に?
トミさんは「あ!」と言って、胸ポケットからパスケースを取り出した。
「それ…アタシの…」
キャラクターの絵が書いてあるアタシのパスケース。
「ひかりさん、昼間来たときに忘れて行ったんだよ。
定期券が入っているから、ないと学校に行けないだろうってケンさんが。
だからちょうど休憩だった俺がひかりさんに届けるとこだったんだよ。
学生証に住所が書いてあったからそれをたよりにね。
そしたらひかりさんの家の前に救急車がとまっていて、もしや…と思ったら案の定。
『彼女の祖父です』って言ったら、一緒に乗せてくれてね」
「初めて救急車に乗った」とトミさんは笑いながら言った。



