「うそ…」と繰り返すアタシにトミさんは、
「辛いけど、これが現実なんだ」
と言った。
「アタシのせいで…アタシ、アタシ…!」
パニックになって喚くアタシをトミさんは優しく抱きしめて、
だけど厳しく言った。
「しっかりしなきゃ、ひかりさん!
君のお腹には命が2つ、あるんだよ!」
「2つ…?赤ちゃん…生きてる…」
「そう。ひかりさんのお腹の中にいる赤ちゃんは無事なんだよ。
突き飛ばされたとき、とっさにお腹を守ったんだね。
それにね、ひかりさんのお腹には双子がいるんだよ」
「ふた…ご?」
「そう。さっき赤ちゃんが無事か検査してもらったら、双子だったって先生が」
「アタシの赤ちゃん…2人…」
「そうだよ。ひかりさんは2人のお母さんなんだ」



