「うっ…」 吐き気に襲われるけど、胃の中は空っぽ。 口の中になんとも言えない空気が漂う。 トミさんは静かに背中をさすってくれていた。 「トミさん…お母さんがケンちゃんを… わかんない… とっ…と…う…どうさんがアタシのこと…」 「いいんだ、ひかりさん。今日はゆっくり休んで」 手を握ってくれたトミさんは「側にいるから安心してね」と、笑ってくれた。 眠りたくなかった。 また恐い夢を見たくなかった。 だけどアタシの心は、寝かせようとする薬に負けてしまった。