最初に見かけたときから彼女の顔色は確かによくなかった

彼女は友達からと言う条件付で俺と個人的な交際を承諾した
よくしゃべるときはよくしゃべる
黙りこくっているときは黙りこくる

特に感情の起伏が激しいわけでもなく
上手くいえないけど、自分には永久に手の届かない
彼女なりのテリトリーを孤高に守り続けている
そんな風な人に思えた。

僕の工業デザインのイラストを観て彼女は、人間を描いたらと言った

彼女は最初の約束通り 
俺のアトリエに最初に訪れた日に
彼女は紫の大きなソファーに裸になり

僕は慣れない手つきで血の通った絵の被写体と苦心しながら格闘した

正直僕の描いた彼女はあまり似ていなかった。

肩まである髪、アバラの浮き出たやせっぽちの身体
それくらいしか忠実には再現できなかった。


それでも彼女はなんとなく気に入らない風な完成した絵を
もらっていいかなと僕に聞いてきた



正直 僕は救われた気がした…