あいつはとても美人だと思った
最初の出会いは対等ではなかった
こちらが、遠くからあいつを見ていた

通勤時間だというのに、俺は通勤でもないのに
混雑した電車に乗るのが好きだった

別に痴漢とか 何か下心があるわけではなく
ただ、そこはとても混雑していた
座席に座れる可能性は少ない

ただ賑やかだと思った

女子高生のおしゃべり
同年輩のサラリーマンらしき男の携帯での会話

そんな中にいると自分はこの世界で独りぼっちじゃないと
感じられた

不思議だった

画家として活動していた俺は
自宅に居ると例えようもなく孤独で不安になり
そして
いたたまれなくなって
人垣の多い場所へと逃げていく