「今日さ、帰りどうする?」
ヒロが聞いてきた。ダンススクール寄るかどうかってこと。
隣でアヤが爪直しながら、「あたしはパス、カレシと会う」
最近アヤは練習やらない。中学校から付き合ってるカレシに「女の匂い」がするんだって。
結構リサーチして、相手が女子大生らしいってわかったら、めちゃ燃えだした。「オバサンにまけられっか」
可愛い顔してんのに、変なヤツ。
ヒロはバリバリの体育会系だから、毎日スクールの狭いスペース狙って、ソッコーで帰る。
2人とも、アタシと仲いいらしい。
らしいってのは、アタシはあんまり友達って興味無いから。
適当に遊んで、適当に話して。
アタシのケータイは、いつも家にある。
だって、鳴らないし。
架けないし。

とりあえず、ダンスは何となくやってる。
頭空っぽで、ステップ、ステップ、ステップ。
先生に誉められるから、案外才能あんのかな。
でも、関係ないし。