嘘と嘘で始まる

どうしても震えてしまう言葉と同じで、私の両手も微かに震えていた。カップの中のコーヒーも揺れている。

その手を慎也の両手が包みこみ、震えがとまる。

ぼんやり視線を上げると、慎也の視線とぶつかる。目の前に座り、ぎゅっと私の両手を掴んでいる。

「で、その好きなやつって誰?」

「……」

「ん?…言えよ」

「……」

「半年くらい前に、同期の飲み会の後この部屋で夜通し飲んでた日あったろ?」

「何…突然」

「俺、そん時に実菜の彼氏に会っちゃってるんだよな」