だってそれはあたしのノートだったから。



あたしの、『王子様ノート』。



「なっ・・・んで・・・・!!!??」


確かにスクールバックに入れてたはずなのに!!!


「やっぱお前のなんだ?」


パニックになっているあたしをよそに、男の子はあたしの『王子様ノート』をパラパラとめくり声に出して読み始めた。


「あたし、絵奈の王子様は、とにかくかっこよくて、髪は茶色で、外国に住んでて、目が綺麗で、白馬に乗って―「やめてーーーっ!!!!!!」


あたしは顔を真っ赤にしながら男の子からノートを奪おうとすると、男の子はあたしをヒョイとよけた。


「白馬に乗ってって・・・・クク」


男の子はお腹を抱えて笑いをこらえていた。


「何それ?お前の理想の王子様?」


「ち、違っ!!!!!!」


あたしは耳まで真っ赤になる。


そんなあたしを見て、男の子はフッと笑った。


「図星か」


「か、返してくださいっ!!!!」


あたしはノートを返してもらおうと必死で手を出した。


「んー・・・・どーしよっかなー?」


そう言うと男の子はニヤニヤしながらあたしの方へ歩いてきた。