―ガラッ
「先生―・・・・・ってあれ?」
保健室は、鍵が開いているのにからっぽだった。
(どうしよう・・・・・・・)
あたしはそろりと後ろの男の子の顔をを見た。
あたしに無理やり引っ張られて連れてこられたためか、男の子の顔はさっきよりも不機嫌だった。
(・・・・しょうがない・・・・!!)
「と、とりあえず座ってください・・・・・・」
あたしは自分に言い聞かせると、男の子をイスに座るようにうながした。
そして、透明の引き出しに入っていた消毒液とコットンを取り出した。
「痛かったら、言って下さい・・・・・・・」
あたしはそう言うと、消毒液をしみこませたコットンを男の子の傷にちょん、とつけた。
「って、」
男の子が痛そうに顔をしかめた。
「ごめんなさいっ!!」
あわあわと焦るあたしを横目に、男の子は引き出しから絆創膏を取り出した。
「あ、あたし貼ります!!」
バッ!!
「あっ、おい!」
あたしは元気にそう言うと、男の子から絆創膏を奪い、テープを剥がして男の子の頬にゆっくり貼った。
(わ、この人、肌綺麗・・・・・)
思わず見とれてしまうほど、顔が整っている。
「・・・・・・おい」
ハッ!!
「ご、ごめんなさい!!」
慌てて男の子から離れると、男の子がフッと笑った。
「さっきからごめんなさいしか言ってねー」
「ごめんなさい・・・・・・」
(笑った顔もカッコイイなぁ・・・・・・)
あたしがそんな事を思っていると、男の子があたしをじっと見つめながら言った。
「お前、1年だよな?名前は?」
