保健室に1人残されたあたしは、携帯を握りしめたままへなへなと床に座り込んだ。
―どうしよう・・・・・・・
キ、キスされちゃった・・・・・・
あたしは真っ赤になりながらまだ感触が残っている唇にそっと触れた。
「ど、しよう・・・・」
その時、握っていたあたしの携帯が鳴った。
携帯の着信音であたしは我に返り、慌てて携帯のディスプレイを確認する。
電話は沙紀那からだった。
通話ボタンを押し、携帯を耳に当てると沙紀那のよく通る声が聞こえてきた。
《ちょっと絵奈ー!!?いつまで待たせんのっ!今どこ!?》
「・・・・・・・・・・保健室」
《保健室!?なんでそんなとこいんのっ!?》
沙紀那の呆れた声が携帯から聞こえる。
「・・・・・・よ・・・・」
《え?何て!?》
「どぉしよぉぉっ!!!!!!」
あたしの大きな声が、1人の保健室に響き渡った。
