【完】恋の欠片―ユアン編―㊤

だから私は、これ以上いっても無駄だと思い、話題を変えた。



「……雪兎はさ、いつフランスに帰るの?」



怒っているつもりが、逆に優しい言葉になってしまった。



いつもこんな感じ。雪兎には本気で怒れない。



怒っててもすぐに許してしまうのだ。



「うーんと…明後日くらい」



「えっ…明後日?」



明後日って…遅くない?



「何?もっと一緒にいたい?」



雪兎はそう言いながら軽く笑った。



その瞳は、どこか淋しげだった。



「いや…その逆…」