唇を離す。

トーコは俯き、俺の目すら見ない。


「顔、真っ赤」


俺がそう呟くと、トーコは反論する。


「な…なによっ、あんたが急にキスしてくるからでしょ?!」


「ば~か。不意打ちでしなきゃお前の反応見れねぇじゃん。それが面白いってのにさ」


言いながら、俺はゆっくりと教卓の下から出る。

「あ~くそっ。腰いてぇな」


腰を押さえながら、黒板を見据えた俺。


トーコも俺と同じように、狭い教卓の中からでてきた。


そのまま、しばらく沈黙が続くが静寂を破ったのは俺だった。