何か言わなきゃ。


何か言わないと、智也が遠い所に行っちゃうみたいな感じがして私は慌てて声を発した。


「み……見たんだからっ!」


背後からの私の声に、智也は立ち止まり振り返る。


「見たって何を？」


「何をって……その……」

智也が、他の女の子とキスをしてるところ…

そう、言いたかったのに声にならない。


あの人は誰？

智也とどんな関係？

冬休みはどう過ごしていたの？


もっともっと、聞きたいことはたくさんあるのに。


「ううん。何でもない……。始業式でるなんて珍しいね。いつもさぼりまくってるくせに」


なんて、可愛げのない言葉を放つ私。


こんな気持ち、嘘だ。私は南木先輩が好きなのに…。好き……なのに


気持ちが定まらなくなってきているなんて……。