『智也くん?ごめんね、まさか……女の子と一緒だった?』


その声を聞き、俺は目を見開いた。


「リ……リエさんっ?」

電話の相手は、叶さんの彼女、リエさんだった。

「どうしたんすか?」


『うん。あの……』


電波を伝って、リエさんの泣き声が微かに聞こえた。


「大……丈夫っすか?」

『智也くん……今から、会えないかな?一人で……いたくないの』


思わず、トーコを見る。


汗が、こめかみから顎へと滴り落ちるようだ。


トーコは電話の内容を知らないから、首を傾げて俺を見ていた。