「トーコ……」


好きだ。どうしようもないくらい好きなんだ。

だけど、トーコの気持ちを思えばこそ俺は自分の気持ちを伝えられない。

兄貴じゃなければいいのに。


トーコの好きな奴が兄貴じゃなかったら俺は、今すぐにでもトーコをさらっていけるのに。

トーコの想い人が兄貴だからこそ、俺は戦意を失った。


かなわないんだ。兄貴には何一つ……かないっこない。