「トーコ……なんで?」

声、震えてないか?この心臓の音、気づかれてないか?

「なんでって……智也が来いって言うから」


そうだよ、兄貴がいないのに何で来るんだよ?


「入って……いい?」


何も言わない俺にしびれを切らしたのか、トーコはそう言った。


俺は、黙ったまま頷きトーコを家に上げた。

声、出したら緊張で裏返るに違いない。


トーコがこの家に上がったことは何度もあった。

あの頃は俺もまだガキで、何も考えずにトーコと遊んでいたけれど……

女を知ってから、家では絶対に二人きりにはならないと決めた。

何故なら、理性を抑える自信がないから。


きっと俺、トーコのことめちゃくちゃに壊しちまう。