「若宮?どした?」


慌てて、私は話をそらす。南木先輩を好きになった最初の頃の気持ちを思い出したからだ。


「南木先輩はっ……クリスマスどうするんですか?いつも家族と過ごすって智也が」

「あ~今年は誠吾達部活のみんなでさ、集まるんだよな。ほら、もう中学も卒業だし。さっき決まったばっかでさ。智也にはまだ言ってねぇけど」


「あ……そうなんですか」


智也はまだ知らないんだ。


どうするんだろう、クリスマス。


南木先輩に近くまで送ってもらって、私は自宅に着いた。


部屋のベッドに寝転がると、自身の唇に触れる。

今日はキス……しなかったな。


そう思っていたのも束の間、私はわれに帰り左右に顔を振る。

待ち焦がれている筈ないじゃない。あんなキス……困る。


あんな……感情が伝わる優しいキス、困るよ。