俺は再び、トーコに背を向けて、歩きだす。


トーコは、俺の一歩後ろから、遠慮がちについてきた。


「花火……20時からだったよね?」


トーコが口を開く。駅に向かう長い坂を下り、目の前に広がる高台からの景色。

遠目で見据え、俺は頷いた。


「あぁ」



「うん。分かった。じゃあ……25日」


俺は目を見開いた。


え?それって……OKてこと?俺と一緒に……花火見るってことだよな?


心音が響く。

本当は体で表現したいのに、高ぶる気持ちを抑え、頭の中でガッツポーズをしてみる。


トーコの顔が見たいのに、見れない。


お前は今、どんな顔してんだよ?俺と同じように……赤いの?


「……っ……1ヶ月先だぞ。忘れんなよっ」


念をおす。


頷いたかどうかは、わからない。俺の背中ごしに、トーコの甘い香りだけが漂っていた。