「学校、案内してくれるんじゃなかったの?」


「もう案内したじゃん」

言いながら、俺は駅に向かって早歩き。トーコの顔を見ないですむから。
そんな俺にお構いなしで、俺の気持ちなんて知らないトーコは、背後から服をつまんだ。


「相馬くんが言ってたんだけど。智也が私に相談あるって……」


「んなもん、ねぇ」


「ウソでしょ。なら、どうして私を呼び出したの?」


カッと顔が赤くなって、俺は思わずトーコに振り返ってしまった。



「それはっ……安司のやつが勝手に……」



トーコの瞳が俺を黙らせる。


体が動かない。


「……っ……」



声さえも出ない。


見つめあったまま、指を動かすことさえも。


俺とは違う、濁りのない透き通った瞳。


羨ましくて、憧れた瞳。

兄貴と同じ、真っ直ぐな瞳。


全てを見透かすように感じてしまうのは何故だろう。


憧れか?いや、嫉妬だろうか?

俺にはないものを持つ、お前が羨ましくてたまらない。