だけど、そう簡単には、うまいこといかないわけで、いきなり、俺が素直になれるわけなんて無理だと決めつけるのもなんだけど……とにかく、心臓は動きっぱなしで、恥ずかしさの裏返し。


「船越神社の夏祭りあんだろ?あれ……お前行くの?」


顔を背けたまま、俺は言う。


頭をぼりぼりと掻きむしって、掻きむしりとるくらい、強く、ツヨク。


「行くよ」


その一言で、俺は顔を上げる。


6月の終わりのムシムシとした、肌にまとわりつく暑さが、俺の体を湿らせた。