「気なんかすまないけど……これで許してあげる」


「つぐみ……」


「バイバイ、智くん」


つぐみは顔を伏せながら呟いて、駅の構内に入っていった。


じんじんとしたままの頬に触れながら、つぐみの背中を見続けていた俺。

それまで気づかなかった。


彼女がその場に佇んでいたなんて。


「トーコ……?」


つぐみが去ったのと入れ替わりに、トーコが俺の視界に入る。

その場に立ち止まったままで、俺の顔を見つめたまま。


何、やらかしたの?


って、そんな顔で見つめているようだ。