「……付き合ってるの?」


なに?突然……


驚いて、顔を真っ赤にさせる私。


積極的な彼の行動に、どくんどくんと、心臓がうなる。


「つ……付き合ってない」


そう伝えるのに精一杯だった。



「そっか。なら良かった」

井上くんは、微かに笑みをこぼし、前を見据えた。


ようやく、離された手。

私は思わず胸に手をあて、掴まれた手を握りしめる。


窓側を見つめていた井上くんは、うつむきながら呟いた。


「来月の夏祭り……一緒に行かない?」


「え?」


初めて、こんなふうに誘われて、私の鼓動は最高潮。


これが、デートのお誘いってやつ?!


赤い顔が、さらに赤くなった。