「都合は悪くないけど……」


「なら決まり!じゃあ10時な!」


言いながら、相馬くんは子供みたいにブランコをこぎだした。


私は渋々、相馬くんに頷く。


ギシギシと、ブランコをこぐ音だけが、夕方の静かな公園に響いている。

しばらくして、相馬くんは口を開いた。


「……あのさ、俺の体のこと……若宮の友達には内緒な?」


「え?なんで?」


「いや、やっぱホラ。傷あるし。それに、同情されたくないじゃん」


足をこすりつけ、動きを止めた相馬くん。


ピタリと止まり、辺りは余計に静かになっていた。


「傷って……私も水泳の授業で相馬くんの体、見たけど、なんとも思わなかったし」


「水泳だからでしょ。エッチのときはドン引きされんだよね。だから……服着たまんまなの、いつも」


恥ずかしさなんて、微塵も感じさせない爽やかな笑顔。


私のほうが思わず赤面してしまった。