安司はベッドから起き上がり、突っ立ったままの俺の目の前に立つ。


「智也が行かないって言うなら……俺、若宮とっちゃってもいいの?」


安司の真剣な表情に、俺はただ、その整った顔立ちを見据えていた。


透き通るような灰色の瞳が、俺をじわりじわりと追い詰める。


「……分かったよ。行けばいいんだろ?」


「智くん、サンキュー」

言いながら、安司は満面の笑みで俺に抱きつく。

「重いっつーの!お前、無駄にでかいんだから」





せっかく離れたというのに、また、お前に近づいていく。


こういう、運命なのだろうか。


空っぽな心は、 再びお前で埋め尽くされるのだろうか……。