「今、智也と同じクラスなんだ。もーこいつってばもててもてて…ほんと、困っちまうくらい。駅や学校で、女の子達が待ち伏せしてるくらい!それでも彼女作らないから不思議でさ~」


「安司!余計なこと言うんじゃねーよ」


制服のポケットに手を突っ込みながら、俺は二人に近づいた。


「久しぶり、智也。卒業式いらいね」


初めて、トーコの高校の制服姿を見た。



「あぁ、久しぶり」

ヤバい。激しい動悸に襲われそうだ。


何を話せばいいか、わからない。


トーコの前だと、緊張して何も話せない俺がいる。

笑っちまう。


他の女には、甘ったるい言葉も、キザな科白も言えるというのに。