ぐっと息を飲み込んだ。

そりゃ、地元だから、小中共に同じだから、会う確率は高い。

だけども、なるべく会わないよう心がけていたわけで。


卒業式の日、あれは失態だ。

トーコが困っていて、助けずにはいられなかった。



道端で、本当に偶然に会ったときは無視しているわけで……今回は、安司がいる手前、そうはできないようだ。



安司の声に振り返ったトーコは、目を見開いていた。


が、それもすぐに無表情の冷たい視線へと変わる。


俺が、最初にそうしたのだからしょうがない。


心をしめきって、鋭い視線でトーコを見つめていたのだから。