「なんだ。ちゃっかりやることはやってんだ」


俺の言葉に顔を真っ赤にした安司。


「智也のほうこそ、遊んでないで一人にしぼれよ!」


「そのセリフ、そっくりお前に返す」


「俺は智也のお守り役なの!お前が彼女できたら、俺だって作るよ」


「ははっ……一生、無理かもな」


何を言っても、軽々とかわす俺に嫌気がさしたのか、安司は頬を膨らませ、俺が読んでいた雑誌を取り上げる。


「あぁ!まだ読んでる途中なのにっ!」


「もう、智也には読ませてやんない」


「あんくん、ごめん!だから、見せて」


相変わらず、俺はこういう世話やきタイプに弱いようで何でも打ち解けられる。

ただ、あの事件のこと、トーコのことは言えない。


誰にも、秘密にしてある。