「前髪……きれば?」


「でも、前髪切ったらこの目が見られて……」


「綺麗だよ。お前の目」

俺の言葉に、安司は目を丸くして驚いていた。


だが、すぐさまその顔は笑顔に変わり


「ははっ、ありがとう。そんなこと言われたの初めてだよ。南木とは前から話してみたいと思ってたんだ。これから、よろしく」


そう言って、握手したのを覚えている。


それから、三年のときにクラスが離れても休み時間や放課後もずっと一緒だった。


俺が東郷大付属高校に進学するっつっても、安司は俺についてきてくれた。


彼女が欲しい欲しいっつってたのに。男子校だぞ?バカ


それでも、安司が傍にいてくれたことで、俺はようやく居場所というものが何か分かった気がした。




安司のおかげで、少しねじ曲がった性格も改善されたようだし、何より、人と少しは打ち解けようと思えるようになった。