なぜ?って、聞かなかった。


黙っていたままの俺の前の席に、安司は座る。


「こうやって、人と話すのも久しぶり」


「なんで?イジメ?」


「うん、まぁ。ほら、目の色が少し違うでしょ?」


そう言われ、伏せていた顔を上げた俺は安司の顔を覗き込んだ。


うっすらと灰色の瞳。初めて、こんな瞳を見た。

それを隠すかのような、長い前髪。


その前髪に隠された顔は、男の俺でもドキッとするほど、整っていた。