「智也!俺んち来ない?お前が読みたいって言ってた雑誌見つけたんだ。だから、機嫌直せよ。な?」


俺の腕を掴んで、安司は満面の笑みで言う。


俺、こういう笑顔に弱ぇんだよな。


兄貴にも……最近は頭が上がらない。



「……わーかったよ。先に読ませてくれるなら、いいよ」


安司とは、中2で同じクラスになった。


あの事件からしばらく登校拒否をしていた俺は、新しいクラスにも馴染めず、教室で一人座っていた。