赤い花が、再び私の胸元で輝きを増す。


ねぇ、智也。


どうしてそんなに優しいの?

意地悪したり、優しくしたり、私の心を揺さぶって、いつも智也は最後には離れて行ってしまうね。


もう【Tactic】はしないんだね。


その体に、唇に触れることは、ないんだ。


智也がそう決めたのなら、私も決意する。


もう、揺らがないって。


私は……先輩だけを見ていくって。



そう決めたのに、智也の後ろ姿を見ると、涙が零れた。