俺は、額をドアにこすりつけると俯いたまま、目を閉じる。


「最後のキスまで……んな顔すんなよ」



嘘でもいいから、最後だけは俺のキスを受け入れてほしかった。



トーコ

俺はお前を忘れる。


お前の傍にいると、俺は理性を狂わされてしまうんだ。

そして、結果、お前を困らせてしまう。


困らせてばかりの俺が、お前を幸せにすることなんてできない。


できない……よな?



窓からトーコを見た。


だんだんと、小さくなるトーコの姿。


ぐっと、涙を耐え、俺は、その姿を瞼に焼き付けた。


一生……消えないように。