「智也っ、リビングからお菓子とってきた。食べようぜ」


学校から帰ってくると、兄貴は俺の部屋に来て、入り浸る。


俺のことが、心配なのだろう。


ずっと、俺を気にかけて俺のそばを離れない。


「いつから学校行くんだよ?」


「だから、二年になってからって言ってんじゃん。ちょうど新学期できりがいいし」


「え~?なんでだよ?一緒に登校できねぇじゃん…」


兄貴は俺の隣に来ると、上目づかいでそう言った。


不覚にも、可愛いと思ってしまった。

いざ、蓋を開けてみれば、 ブラコンっつーの?嫌い嫌いも好きのうちっつーの?


いや、可愛いんだよ、この人。


子犬みたいというか、絶対裏切らない安心感。

俺みたいにひねくれ者でも、屈託のない笑顔で一生懸命話しかけてくる。

兄貴だったから……トーコをあきらめられたかもしれない。