後方から現れたのは、兄貴の自転車を押しながら小走りに歩み寄るトーコだった。


「若宮が警察呼んだのか?ありがとう」


「いえ、なんか雰囲気がヤバそうだったので…。そろそろ警察呼んだほうがいいと思って。先輩の自転車も持ってきました」


俺は、半分虚ろなままの状態でトーコと兄貴の会話をきいている。


「若宮、とりあえず智也をチャリの後ろに乗せて病院へ連れて行ってくれ」


「え?先輩は……」


「オレは話をしてくるよ。あいつらも逃げちまったし、話を大きくしても…な。知らない奴に絡まれたって言えばすぐ済むだろ」


兄貴はそう告げると、俺を自転車の後ろへと乗せた。


「じゃあ若宮、頼む。親にも病院に直接来るように伝えるから。後でオレも病院に向かう」


トーコは頷くと、俺を後ろに乗せたまま自転車をこぎ始めた。