その声の主は、ものの数秒で俺の傍まで駆け寄り、俺を跨ぐ岩本を押しのけると、心配げな面持ちで俺の頭を数回撫で、自らのコートを俺に着せた。


「あ……兄……貴っ?」


口内に残る砂粒が、邪魔をして幾度かむせかえる。


「智也!!大丈夫か?なんなんだよ、お前ら!!俺の弟になにすんだっ」


兄貴は俺の体を包み込み、叶達へと睨みつけた。

「てめぇ、たしかトモの兄貴だったよな?」


兄貴は下唇を噛み締めた後、額を砂に押し付けると叶に頭を下げた。