両手首を縛られ、動けない俺は、目を丸くしたまま岩本の顔を見つめていた。


「トモ、海ん中入っちまったからなぁ。寒くて震えてんぞ。岩、あっためてやれ」



「じ……冗談っしょ?叶さ……」


「冗談なんかじゃねぇよ。俺はいくらでもお前を痛めつけられる。体を痛めつけるよりも、テメェは心を痛めつけたほうが、こたえるだろ?」


叶は分かっていた。

俺が、何も話さないことを。ちょっとやそっと痛めつけただけじゃ、口を割ることもないということを。


精神的に崩壊させようってわけ?


男に突っ込まれて、泣き叫ぶ俺を見たいってか?

やっぱ、あんたすげーよ。

憧れは、もう遠い彼方。

今では、あんたのこと


悪魔にしか見えねぇ。