浅瀬で横たわっていた俺に、何度か波が打ち寄せていた。



日本海でもアドリア海でもエーゲ海でもカリブ海でも、何処へでも沈めりゃいいさ。


何処へでも……



「カジ、このままだとソイツ凍死しちまう。引き上げとけ」


カジは叶の言うとおり、俺を引き上げると砂浜へと投げつけた。



あぁ、もう指の感覚がなくなってきた。


顎や唇は自然と震え、カチカチと歯の当たる音がする。


水を含んだ布は、俺の肌にべたりと張り付いて、離れやしなかった。