周りには叶を含め三人の男。

その中の一人が口を開き、私は現実の世界に引き戻された。


「叶さん、この女、どうします?」


「どうもしねぇだろ。そんなに震えてちゃぁ、助けを呼ぶこともできない」


言いながら、気を失った智也の髪の毛をさらりと撫でる。


「トーコちゃん、智也……一晩貸してね。明日の朝にはちゃんと返すからさ。今日は見逃してあげるけど、警察になんか言ったら……俺の仲間があんたを、まわしちまうよ?」


ごくりと、息をのんだ。


怖くて、どうしたらいいかわからなくて、私はその場で立ち尽くしたまま。


気絶したままの智也が、車へ押し込まれる様を、ただ見ているしかできなかった。