一人取り残された俺。

トーコの背中を見つめ、静寂の中佇んでいた。


そうだよ、俺……噂通り意地汚いやつなんだ。


この歳で、もう何人もの女を知ってんだ。


だけどさ……


俺が手に入れたいのは

トーコ


お前だけだ。


分かってんのか?お前だよ、お前。




俺は唇に己の手で触れた。


未だに残るトーコの感触。


ファーストキスなんて忘れちまった。


どんな味かと聞かれたらぶっ飛ばしちまう程にだ。


だけど……今日のキスだけはきっと忘れない。


トーコの甘い純粋さと俺の薄汚い苦さが合わさった


そんなキス――…