薄暗い中をゆっくりと歩いていた。


そろそろ家の前だ。


アスファルトへと落としていた視線を、正面へ向ける。


正面に顔を向けたまま、俺の足は止まった。


「ト…トーコ」


思わず口に出す。


そして


「……兄貴」


そう呟く。