「涙のあと、ついてる」
目を見開きながら、リエさんの顔を見つめる俺。
「謝らないでよ。好きな子がいるんだから、できないのも当たり前でしょ。宗輔が好きなくせに、智也くんとこんなことした私に言われても説得力がないだろうけど……ちゃんと正直になりなよ？って……何言ってんだろ私。智也くんに他の女の子と寝ろだなんて言った張本人のくせに……」
リエさんは俺の両頬を両手で持ち、悲しそうな表情で呟く。
「ごめんね……ごめん」
切なく繰り返されるリエさんの言ノ葉に、俺は胸が苦しくなった。
精一杯の笑みで、リエさんを安心させようと試みる。
リエさんの震える肩をそっと掴み、首を傾げその泣き顔を覗いた。
前髪は、はらはらと流れていき俺の額を露にした。
