目の前には、単車に跨り煙草をふかしていた叶さんがいた。


「か……叶さん?!」


クリスマス以降、りえさんとの秘密の関係が始まっていた。


それと同時に、俺は叶さんとは会わなくなり、また、りえさんも叶さんと会うことを極力控えていたのだ。


いや、会えなかった。

りえさんも同じ気持ちだったに違いない。


いくら、叶さんの浮気が原因だからとはいえ、俺は尊敬する叶さんを欺いているのだから。