「戻れよ、トーコ!危ねぇぞ」


腰当たりまでしかない屋上の金網。


少し体を乗り出せば、真っ逆さまに落ちてしまいそう。


「ホームルーム終わったよ。早く……教室戻って」

俺の隣に立つトーコ。


腕と腕が、触れた。

さっき、教卓での出来事を思い出す。

瞬時に俺の顔は赤みを覚えるが、悟られまいと顔を手で覆い隠しながら屋上から遠ざかった。