気がついた時には、刹那が仮面の男に抱きかかえられていた。

咄嗟に足を掴み、阻止しようとする。

「恭耶!大丈夫なん!?」

「めちゃくちゃ痛いっつうの」

腹にジンジンした痛みが続いている。

「でも、お前がどっかに連れ去られようとしてるのに、寝続けてる場合じゃねえだろうが」

よろめきながらも、何とか立ち上がる。

「またやられたいのか?」

「このボケ、刹那は置いてけ」

精一杯の虚勢で、仮面の男を睨みつける。

「そうか、お前もまた」

何かを呟いたが、聞こえない。

「いいだろう。だが、俺は再び現れる。その時に自分自身を制御出来なければ、俺は刹那を連れて行く」

仮面の男は刹那を優しく地面に置くと、背中を向けて去っていく。

「一体、何が目的なんだ?」

仮面の男が去ったおかげで、安心してしまったらしい。

足から崩れ落ちる。

「く」

「恭耶!」

刹那が傍に駆け寄って、肩を支える。

「問題ねえ、こんなもんカスリ傷だ」

「一発で沈んだくせに、何言ってるんよ!」

「ありゃ、わざとだよ、わざと」

刹那が俺の腹を突付くと、激痛が走る。

「くお、何すんだ!この野郎!」

「余計な心配かけさせんといてや!」

刹那は泣いている。

「すまねえ」

さっきは、俺も刹那もどうしようもない状態だった。

「仲良くやるのはいいが、そろそろ警官たちがこっちに来るぞ」

楓の声によって、一番厄介な問題が露呈した。