一方、場所を変え、学校の会議室。

長机四つを四角の形に並べ、一つ一つの辺に一人ずつ座っていた。

部屋の中は一般人が出すような、和やかなものではない。

一般人ならば胃にダメージを負う程、重い空気だ。

集まっている四人は、何事もないような顔をしている。

一人は棍を持って不気味な笑みを浮かべている者。

一人は携帯を弄りながら、面倒くさそうな顔をしている者。

一人は雑誌を眺めて、何を買うか迷っている者。

一人は腰に木刀を据えて、目を閉じ瞑想している者。

誰もが黙ったままで、会議が進んでいるとは思えない。

棍を持った者、海江田が時間を動かすように言葉を発した。

「クク、このままじゃ進まないんだけどねえ」

しかし、海江田の言った事を無視するかのように、三人は自分の事に夢中だった。

海江田は負けじと続けた。

「乾、召集した理由を早く教えてくれないかなあ?クク、でないと暴れてしまいそうだよ」

携帯を弄る者は眉を少しだけ動かす。

雑誌を読んでいた者は相変わらずだ。

木刀を腰に据えている者、乾は自分の世界から現世へ帰ってきたかのように目を開けた。

「大した理由ではないが、妙に学校が騒がしい。何が起きたか知っておく必要がある」

海江田の不気味な笑みの中に怒りが混じり始める。

「実にくだらない。そんなことで呼び寄せたのか?」

「そう言うな。同じ学校とはいえ中々揃う機会がない。だからこそ、情報交換は必要だ」

乾は冷静な態度を取って、海江田の怒りを受け流す。

「あると言えばあるんだけどねえ」

「ほう?」

「二年の鷹威という奴がでしゃばってったんだよねえ。クク、最後は僕がぶちのめして上げたけどね」

思い出し笑いを上げて、下がった眼鏡を中指で元の位置に戻す。

携帯を弄っていた者、美祢は不機嫌そうに携帯を閉じた。

「悪趣味、気分が悪いわあ」

海江田を見ずに、片肘を机の上に置いてアゴを載せる。

「クク、普段、やる気のない君のほうが、周りからすれば気分が悪いものなんだがねえ」