手を繋ぎながら、商店街まで歩いてくる。

足が痙攣を起こすくらい蹴られたので、今すぐにでも休みたい。

「お前のおかげで足がパンパンなんだが、休まないか?」

「それくらいでヘコたれたらあかんわ。男やったら、もっとシャキっとするべきや」

走った後に蹴られて、シャキっとするも何もあったものじゃない。

「お前な、男だって疲れる時はあるんだ」

「だらしない奴や」

「だらしなくてもいいから休むぞ」

「あ」

刹那の手を離して、クレープ屋の前にあるベンチに座った。

「ほんまに子供やなあ」

「幼女に言われたくない」

「好きでこんな体になってんちゃうんじゃ!このボケ!」

チンに右ストレートが入って、意識が飛びそうになる。

「お前な、冗談でもチンはいけないぞ」

「恭耶が悪いんや」

そう言いながら、足を組んで隣に座る。

「そこのカップルのお二人さん、椅子に座るのはいいけど何か買ってくれよ」

クレープ店の中から、おっさんが顔を出して商品の購入を促してくる。

「カップルう?」

「嫌そうな声出すな!」

冗談のつもりでダミ声で答えたのだが、刹那の裏拳が顔面にめり込んだ。

「ウチ、これがええー」

普段出さない可愛い声で指差したのは、イチゴとクリームの入ったクレープだった。

「お前、これは似合わないと思うんだが」

「うるさい!!」

次は横腹にボディーブロー。

「おっちゃん、それ3つ頼むわ!」

「あいよ」

刹那の気前のいい物言いに気をよくする店のおっさん。